『赤目四十八瀧心中未遂』

車谷長吉赤目四十八瀧心中未遂』を読む。年はじめに、一週間ほど大阪近辺を当て所もなくうろついていて、その体験がなければ、イメージの源泉がなく楽しめなかったかもしれない。まだまだ自分もお子様である。あと、『自由死刑』にも感じたのだが、会話文を読んでいるうちに、妙な空間につまみ出される感覚。ロジックで見ると繋がっているようには思えない会話だからこそ、話している人物が迫り出してくる。そうして読んでいる自分は、突き放される。この、突き放される、感覚がなんとも心地よい。作中の人物・空間に、直に触れているかのような、そんな心地よさ。