「懐かしいってそんなにいいことなのかな」

クレヨンしんちゃん モーレツ!オトナ帝国の逆襲」をみる。ひさびさに見たけど、やっぱり面白い。「ALWAYS三丁目の夕日」とあわせて見て頂きたい。時代設定は違うけど。で、これを見てて思ったこと。「懐かしさ」について。ひろしとみさえは、1970年の懐かしさの虜になる。わけだけど、彼らは子供時代に戻りたい、わけでは決して無い。子供時代の「いい思い出」のなかに戻りたいのである。「いい思い出」というのにはもちろん、楽しかった出来事は当たり前だけれど、つらい思いでも含まれる。初恋の思い出。そして別れ。そこまで含めての「いい思い出」。「いい思い出」=「懐かしさ」。1970年自体ではなく、思い出のなかの「1970年」の匂い。匂いで対比されるのが、ひろしの靴の匂いであるというのはほんとに秀逸。生活また人間自体からどうしても匂ってしまう、複雑で猥雑な匂い。それに比べると、夕日の町に漂う匂いはぺらぺらだ。あらゆるものを除去したところに成り立つ「懐かしさ」は悪でしかない。「ALWAYS三丁目の夕日」は、あらゆるものを除去し、清潔感たっぷりに焼きなおされた、ぺらぺらな物語だ。「複雑さ」や「猥雑さ」という型で抜いたものは、そんなもの複雑でも猥雑でもありゃしない。
「ちくしょう、なんでこの町はこんなになつかしいんだ!なつかしくて、気が狂いそうだ!」

台本を書かないとね。ちかごろ人間関係をシャットダウンしていて、いろんなかたに迷惑ばかりをかけている気がします。ごめんなさい。

>あらゆるものを除去したところに成り立つ「懐かしさ」は悪でしかない。
と書いたけれど、正確には、<あらゆるものを除去したところに成り立つ「懐かしさ」の表現は悪でしかない。>かな。表現の問題。昨日のゆずとかスピッツとかにもつながりそうな気がする。スピッツは分かってやってる気がするのだよね。ゆずはそうじゃない気がする。と、テキトー。