一日の日記

ひさしぶりに一日自由。

朝は郵便が来るのを待って、昼からはチラシの印刷代を印刷会社に持っていく。先月のバイト代がぴったりなくなる。渋谷で映画でも見ようかと思ったが思いとどまり、渋谷から下北沢まで歩き。途中、松涛公園で小一時間思考停止していたら、かっこうの蚊の標的にされていた。下北沢ではスターバックスに行こうかと思ったが、これもまた思いとどまり、感じのいい喫茶店に。で、台本執筆。といきたいところだが、たらたらと文章を書いていた。

「『三丁目の夕日』を三回も見て泣きましたが、あれはよくない映画ですよ」
松岡正剛がある対談でこんな発言をしていた(もしかしたら違うかもしれない)。


虚偽の涙を誘う感動なんて、いらない。


2006.3.30.
「好きとか嫌いとか、感動したとかしないとか、そんなものはウソッパチなんです。問題はそのウソッパチにいかに立ち向かうかなんです」
酔っ払いは線路のうえにあぐらをかいて、そう言った。

東京の空がみえた。置き忘れてきた私の影が、東京の雑踏に揉まれ、踏みしだかれ、粉砕されて喘いでいた。限りないその傷に、無言の影がふくれ顔をした。私は其処へ戻ろうと思った。無言の影に言葉を与え、無数の傷に血を与えようと思った。虚偽の涙を流す暇はもう私には与えられない。全てが切実に逼迫していた。私は生き生きと悲しもう。私は塋墳へ帰らなければならない。と。

坂口安吾「ふるさとに寄する讃歌」

鍵括弧つきの感情が平然と闊歩する。