森のなかで風が吹き抜ける、

「森の中にあなたがいて、風が吹く」といったときに、その<森>は落葉広葉樹林なのか、照葉樹林なのか。その問いは、あまり本質的でないだろうと思っていたけれど、そんなことはないのであろう。鎌田東二さんの本を読んでいて、改めて気づかされる。ふたつの森の違いを、宮沢賢治泉鏡花との比較することで検討していた。「そんなことはないのであろう」と書いたのは、「そんなことはない、ということは確かであろうが、いまの私には、まだわからない」という意味である。